バンビ -辻-
愛していたっけ?
愛されていたっけ?
 
誰かの為に泣くだなんて
人はもう しなくなった
道具の代わりにしか思わないのなら
それもいい 使えるヤツにでもなろう
 
恋に上り詰めた、とは云わず
恋に落ちた、というのが
だんだんわかってきた気がする
足元すら おぼつかないから
 
永遠を誓う想いを温めても
ゴルフボールのように 飛ばされるのも一瞬
クラブを握るのは 見覚えのある手  ファー
又 歩かなくちゃ
 
ねぇ バンビ
君と踊った夜は素敵だったね
僕の好きなあの子は君よりも
無愛想で 何もくれないんだ
 
女に振り回されて
酔っぱらった男を 君と眺めてた
黒い蝶を
飽きもせずに君と追いかけた
 
君が何か八つ当りをしたいのなら
この目を見なよ
生まれついて器用ではない
この僕に出来る事
 
ねぇ バンビ
君の優しさが痛い
キスしても おかしくない
憎まれても 不思議じゃない
 
ねぇ バンビ
君を狙う銃を磨く奴がいたよ
僕の事が大好きな君の為に
君の命を奪う物を 盗みに行く
 
体全部の皮膚を剥がされ
心まで裸で立たされ
こんな夜は 南風でも
意地悪に感じるもの
 
どれだけ叫んだら
ここから離れられるのだろう
道行く人は ふざけてると思ってる
冗談じゃない
冗談じゃねえんだよ
 
ねぇ バンビ
君とはまだ日が浅いけれど
あの子と交わす言葉の数より
君との目配せに 慣れてしまったね
 
ねぇ バンビ
君も美しいよ
きつく抱きしめたなら
何かが終わってしまいそうで
 
ねぇ バンビ
誓いや はなむけや ふれあい
語りだしたとたん
全ての人が消えてしまいそうで
 
誰かの為に泣くだなんて
人はもう しなくなった
僕も誰の為に泣いてるのか
ひとり 霧雨の中で
道に倒れ 冷たくなっている

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