薔薇 -辻-
バラになんて生まれたくなかった
バラになんか なるもんじゃない
 
金だけ持ってる冴えない紳士が
ひと穴目論んで女へと擦り寄る
道行く人達に 丸い目で見られ
ブランデーの匂いが漂う場所へ
 
どこかで聞いた キメのセリフを引き連れ
小さい手紙も一緒に
満面の笑みで 受け取るけど
手紙は ゴミ箱行き
 
女の歩んで来た道のりを
讃え 小綺麗な部屋に飾られ
三日くらいは騒ぎたてられるけど
胸には何も 残らない
 
生まれ変わるなら歌になりたい
チェロの弦になりたい
イタリアのオペラを華やかに飾り
みんなの心を 震わすの
 
バラになんて生まれたくなかった
バラになんか なるもんじゃない
 
トゲなんて 邪魔にしか思えないし
どう考えても 危ないし
テレビで 映画で 気取ってるだけの小説で
ジッポオイルをかけられ 燃やされたりもする
 
大げさ とにかく大げさ
流行りのジャージには 縁もなく
ピークの末の 破綻の闇の中
夢物語の 小道具にいつもされる
 
生まれ変わるなら バラ以外ならなんでもいい
男の子でも 女の子でもいい
薔薇って 読めるけど書けないのもヤ
静かで可愛い 恋がしたいもの
 
本当バラ以外ならなんでもいい
山百合でもひな菊でも 素敵じゃない
大事に育てられなくてもいい
やっとの思いで咲いた時 笑ってくれればいい
 
オレンジのガーベラがいい
この街には とても似合う
裏通りまで抱かれて 見つめて欲しい
きっとあなたの 好きな花

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